2-3 坤 / コン / 受容力【卦辞・彖伝】

坤は崇高な成功をもたらします。

牝馬のようなゆるぎない努力を通じて、

さらなる先へ。


もしも優れた人が、

何かを引き受けたり、導こうと試みるならば、

その人は道を見失うでしょう。


けれどもしもその人が、後に続くならば…

道先案内人を見つけることでしょう。


西と南の地で友を見つけること、

東と北の地で友が先立つこと、

それは将来に望みがあります。


静かなゆるぎない努力が、

吉をもたらします。


坤、元亨。利牝馬之貞。

君子有攸往、先迷、後得主。

利西南得朋、東北喪朋。安貞吉。


THE RECEPTIVE

brings about sublime success,

Furthering through the perseverance of a mare.

If the superior man under takes something and tries to lead,

It is favorable to find friends in the west and south,

To forego friends in the east and north.

Quiet perseverance brings good fortune.


彖曰、至哉坤元、万物資生。乃順承天。

坤厚載物、徳合无強、含弘光大、品物咸亨。

牝馬地類、行地无強、柔順利貞、君子攸行。

先迷失道、後順得常。

西南得朋、乃与類行。東北喪朋、乃終有慶。

安貞之吉、応地无強。  


***


4つの基盤からみた乾の姿である

『元亨、利貞』は、

(崇高な成功は、ゆるぎない努力のさらなるその先に)

坤の属性でもあります。


けれどここでは、
『ゆるぎない努力』の意味が、
もっと限定されています。

それが『牝馬』です。

坤という言葉には、
『魂の可能性である乾』に対比して
『空間に実存する坤』という意味が
含まれています。

可能性は、
現実となります。

そして魂は、
特別に与えられた権限を通じて
この世に現実として存在する
実存となります。

その権限が『牝馬』です。

ここでは、
ゆるぎない努力という概念に
『牝馬』という権限(能力)が
付け加えらています。

馬は大地に属します。
龍が天に属するように。

疲れを知らずに平原を駆けめぐる
その強く美しい馬の姿は、
果てしなく広がる大地のシンボルである
と感じられます。

このシンボルは、選ばれたのです。

なぜなら牝馬は、
雌牛のような穏やかさと献身さと共に…
馬の強さと敏捷さも兼ね備えている
からです。


***


霊性が、
乾の無数の衝撃を現実にできる
その理由はたった一つだけです。

無数の形のなかにあって、
乾の無数の推進力に等しく一致する
そのような霊性だけが、

乾の無数の衝撃を…
乾の無数の鼓舞を…
乾の無数の衝動を…

現実にすることができる。
これが唯一の方法です。

霊性の豊かさは、
霊性の力のなかに横たわります。

生きとし生けるもの…
その全てに滋養を与えるために。

霊性の偉大さは、
霊性の力のなかに横たわります。

生きとし生けるもの…その全てに
美しさと壮観さを与えるために。

ですからすべての生き物は、
動物も植物も…みな繁栄します。

乾が子をもうけます。

けれど、
その誕生をもたらすのは
坤です。

それ故…これを
人々の関心事に応用した場合、
この卦のしるしは、
状況に一致した行動です。

神託において、この卦を得た人は、
独立した立場ではありません。

仕事が発展し完成するよう
最も信頼できる補佐として、
活動している人です。

これが意味すること…それは、
何かを成し遂げなければいけない
ということです。

それは、
導くために努力すること
ではありません。

それは、
彼の仕事ではありません。

それは彼にただ、
道を見失わせるだけの
方法でしょう。

そうではなく、
自分自身を導かれる立場に
置くことです。

もしも人が、
運命からの申し出を受け取る態度と共に
運命と向き合う方法を知っているならば…

その人は間違いなく、
正しい道先案内人を
見つけられることでしょう。

優れた人は、
自分自身を導かれる立場に
おきます。

先の事を考えず、
他のものが目に入らず、
理性的な判断ができないような…
向こう見ずな前進はしません。

そうではなく、
状況から学んでいるのです。

状況が求めていること
それは何かと。

そのようにして、
運命がそれとなく知らせる
手がかりに従い、後に続きます。


***


私たちは、
到達しなければいけない何かが
そこにあるときからずっと…

骨折り奮闘するなかで
友と助けを必要とします。


ひとたび…
実現するためのアイデアが
はっきりと心に示され
堅くしっかり抱かれるやいなや…。

もしもそのような状況のなかで、
すべての力を動員しないならば、
達成しなければいけない目的は、
事を成し遂げることはないでしょう。

ですから友を見つけることは、
道先案内人を見つけることを
意味します。

けれどもう一つ、
骨折り奮闘する時について
付け加えると…

それは、
計画を立てる時でもある
ということです。

そしてこのために…
私たちは独りあることを
必要とします。

東の地は、
人が主から命を受け取る場の
シンボルです。

そして北の地は、
成し得たことを報告する場の
シンボルです。

その時人は、
独りにならなければ
いけません。

そして、
実在しなければ
いけません。

この神聖な時間において、
人は、友なく…
事を成さねばいけません。

そうすることで、
この混じりけのない清浄の時間が
奪われることはないでしょう。

つるむことが大好きな人たちの
妬みや嫉妬という憎しみから…。
そして偏った愛からも。



(参考文献)

◎岩波文庫 易経(上)(下) 高田真治・後藤基巳 訳

◎THE I CHING OR BOOK OF CHENGES by Wilhelm / Baynes

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